日本化学療法学会雑誌
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キノロン系抗菌薬pazufloxacinのin vitroおよびin vivo基礎的評価
宮崎 修一高橋 明宏金子 康子辻 明良山口 惠三五島 瑳智子
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 19-33

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抄録

Pazufloxacin (PZFX) の in vitro, in vivo抗菌活性をciprofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX), sparfioxacin (SPFX), tosufloxacin (TFLX) と比較評価し, 以下の成績を得た。
Methicillin-resistant Staphylococcus aureusを含むStaphylococcus属に対し, PZFXはSPFXおよびTFLXについで強い抗菌活性を示し, Streptococcus属に対してはCPFXやOFLXと同等の抗菌力であった。Providencia rettgeriを除く腸内細菌科に属する菌種に対するPZFXのMIC90は2μg/ml以下であり, CPFXと同等かやや強い抗菌力を示した。ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に対する本剤の抗菌力はCPFXと同等であった。
Pseudomonas aeruginosaの増殖曲線に及ぼす影響ではPZFXは短時間に強い殺菌効果を示した。さらにヒト血中濃度推移を再現したin vitro pharmacokinetic modelではPZFXはOFLXより3時間長く再増殖を抑制した。
S.aureus 2株およびグラム陰性桿菌4株によるマウス全身感染モデルにおいて, PZFXのED50値は0.01~0.32mg/mouseとなり, 本剤の治療効果はS.aureus2株およびKlebsiella pneumoniae3K-25株感染群ではSPFX, P.aemginosa E7株感染群ではCPFXおよびTFLXに劣るものの, 他の対照抗菌薬より優れていた。K.pneumoniae 3K-25による呼吸器感染およびEscherichia coliTMS3株による尿路感染モデルにおいて, PZFXはSPFXよりやや劣るものの, 他の対照薬剤と同等か優れた治療効果を示した。P.aemginosa KU-1株による尿路感染モデルでは, PZFXが最も優れた治療効果を得た。
マウスにおける体内動態では, PZFXは血清中, 肺および腎において速やかに (15~30分後) 最高濃度に達し, 最高濃度値は対照薬剤 (CPFX, OFLX, SPFXおよびTFLX) よりも高かった。また血清中, 肺および腎におけるPZFXの半減期はOFLXとほぼ同程度であった。

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