1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 377-382
新しいピリドンカルボン酸系抗菌薬であるpazufloxacin (PZFX) の尿路感染症における有用性を基礎的, 臨床的に検討した。教室保存の尿路感染症患者より分離された9菌種, 270株に対するPZFXのMICを測定し, その結果とnorfloxacin, ofloxacin, tosufloxacin, ciprofloxacinの結果を比較検討した。本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌ともに優れた抗菌力を示し, グラム陰性菌においては特に優れた抗菌力を有した。臨床効果の検討では, 複雑性尿路感染症においてはUTI薬効評価基準の判定で著効3例, 有効1例, 無効1例であった。細菌学的には複雑性尿路感染症の5例より合計5株が分離され, うち4株が消失した。存続菌はStaphylococcuse Ptdermidisの1株のみであった。副作用としては1例に皮疹を認めたが軽症で特に処置を必要とせず軽快した。本剤投与前後における臨床検査値の異常変動はGOT, Bil, GPT, LDH, ALP, LAP, γ-GTP上昇の1例を認めた。
以上より本剤は尿路感染症において, 有効かつ安全な薬剤と考えられた。