日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
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Ritipenem (Ritipenem acoxilの活性体) による各種グラム陰性桿菌の形態変化
西野 武志田中 真由美長辻 祥子大槻 雅子
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キーワード: 形態変化, PBP
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1995 年 43 巻 Supplement3 号 p. 55-61

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抄録

新しい経口用ペネム系抗生物質ritipenem (RIPM) のEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescensおよびAcinetobacter calcoaceticusに対する抗菌作用を位相差顕微鏡走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡を用いて, 形態変化の面から検討した。さらにE.coliのペニシリン結合蛋白質 (PBPs) に対する親和性についても検討を行った。
E.coliおよびS.marcescensにRIPMを作用させたところbulge状の細胞および球形細胞そして溶菌像が観察された。一方, K.pneumoniaeおよびA.calcoaceticusではRIPMの作用により球形細胞と溶菌像を認めた。また, bulge状になったE.coliでは内膜の切断像が, そして球形化したA.calcoacetocusでは隔壁形成部位に膨隆像が観察された。E.coliのPBPに対してはRIPMはPBP2に対して最も良好な親和性を示した。この結果は形態変化の観察結果と良く一致していた。

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