日本化学療法学会雑誌
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高速液体クロマトグラフィーによるritipenemのヒト血漿および尿中濃度測定法
松岡 正之細見 律子真木 照雄伴野 清佐藤 忠司
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1995 年 43 巻 Supplement3 号 p. 91-96

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抄録

高速液体クロマトグラフィーによるヒト血漿および尿試料中のritipenem (RIPM) の定量法について検討し, 臨床試験における体液内濃度測定法を設定した。
試料は限外ろ過による前処理後グラジエントモードの逆相カラムに注入した。注入法として, 血漿試料はサンドイッチ法を, 尿試料は直接法を用いた。本法は血漿および尿成分から目的成分を良好に分離でき, かっ, ブランク血漿あるいはブランク尿に添加して作成した検量線は原点を通る良好な直線性を示した。本法により血漿試料中0.05~5.0μg/mlの濃度範囲のRIPMを日内精度4.8%, 日間精度3.2%以下でそれぞれ測定することができた。同様に尿試料についても, 2.5~1000μg/mlの濃度範囲で日内精度11.9%, 日間精度7.5%以下でそれぞれ測定することができた。検出限界は, 血漿中が約0.01μg/ml, 尿中では約1.0μg/mlであった。
血漿中のRIPMは安定化剤を添加することにより,-20℃および-80℃保存で少なくとも約1ケ月間は安定であった。
Ritipenem acoxil (RIPM-AC) を投与した臨床検体中のRIPMを本法で測定した結果は, 血漿および尿ともに生物学的測定法による測定結果と良好な相関性を示した。

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