1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 82-87
新しく開発された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) について, 臨床分離菌に対する抗菌活性の測定, 血中・喀痰中濃度の測定および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1. 抗菌力: 最近の臨床材料から分離された6菌種329株について日本化学療法学会規定の方法により最小発育阻止濃度を測定し, ceftazidime (CAZ), cefuzonam (CZON), flomoxef (FMOX), imipenem/cilastatin (IPM/CS) の抗菌力と比較した。CFLPはStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae, Moraxella catarrhakisに対してはCZON, FMOXと同等以上の抗菌力を示し, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeに対しては対照薬剤中最も強い抗菌力を示した。
2. 血中・喀痰中濃度: 急性気管支炎1例にCFLPを1.0g, 60分間で点滴静注後, 血中および喀痰中濃度を経時的に測定した。投与終了直後に最高血中濃度66.0μg/mlを示し, 喀痰中濃度は投与終了後4~5時間で2.38μg/mlを示した。
3. 臨床検討: 呼吸器感染症11例を対象に本剤1回1g, 1日2回点滴静注投与を6~14日間行った。薬効評価が可能であった9例の臨床効果は, 著効1例, 有効5例, やや有効2例, 無効1例であった。副作用および臨床検査値異常は認められなかった。