日本化学療法学会雑誌
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Balofloxacinの呼吸器感染症に対する臨床的有用性の検討
沖本 二郎窪田 好史宮下 修行吉田 耕一郎中島 正光二木 芳人副島 林造
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 242-246

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抄録

新しいキノロンカルボン酸系抗菌薬であるbalofloxacin (BLFX) について, 抗菌力ならびに呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1. Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA), Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Branhamella catarrhalis, Klebsiella pnumoniaeに対するMICは0.01~4μg/mlにあり, sparfloxacin (SPFX) やlevofloxacin (LVFX) とほぼ同等の優れた抗菌力を示した。methicillin-resistant S. aureus (MRSA) に対するMIC90は4μg/mlであり, SPFXやLVFXに比し優れた抗菌力を有していた。Pseudomonas aeruginosaに対するMIC90は64μg/mlであり, SPFXやLVFXに劣る抗菌力であった。
2. Chlamydia pnumoniae, Chlamydia psittaci, Chlamydia trachomatisに対するMICは0.25~0.5μg/mlにあり, tosufloxacin, SPFXには劣るものの, ofloxacin, ciprofloxacinと同等の抗菌力を示した。
3. 呼吸器感染症10例を対象にBLFXを使用した結果, 臨床効果は著効2例, 有効7例, 無効1例で, 90%の有効率であった。副作用として, 随伴症状は認めず, 臨床検査値の異常として1例に軽度の肝機能障害を認めた。

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