日本化学療法学会雑誌
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外科感染症, 特に皮膚・軟部組織感染症に対する新経口用キノロン薬balofloxacinの臨床応用
中山 一誠秋枝 洋三山地 恵美子平田 浩子川口 広渡辺 哲弥
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 346-352

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抄録

新規経口用キノロン薬balofloxacin (BLFX) について, 外科感染症, 特に皮膚・軟部組織感染症に対して臨床検討を行った。対象疾患は, 乳腺炎, 創感染, 皮下膿瘍, 肛門周囲膿瘍, 蜂巣炎, 化膿性汗腺炎, および毛髪洞炎の13症例である。感染症の重症度は軽症8例, 中等症5例であった。投与量は, BLFX 100mgまたは200mgを1日1回または2回, 7日~12日間投与し, 臨床的有用性について検討した。
主治医判定による臨床効果は, 著効5例, 有効4例, やや有効2例, および無効2例であり, 有効率69.2%であった。起炎菌別の臨床効果では, 著効5例, 有効4例, 無効1例で, 有効率90.0%であった。
細菌学的検討は, 10症例から16株が分離された。分離菌別細菌学的効果は, 10例中, 消失9例, 部分消失1例であり, 消失率90%であった。
副作用は軽度の下痢・頭痛が1例に発現したが, 1日用量 (分2) を400mgから200mgに減量することにより, 治療を継続しながら症状は消失した。

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