日本化学療法学会雑誌
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Balofloxacinの歯科・口腔外科領域感染症に対する臨床効果
佐々木 次郎唐木田 一成山根 伸夫太田 嘉英毒島 保信高倉 淳椎木 一雄菅野 和幸内藤 博之金子 明寛富田 文貞加藤 久視森鼻 健史山本 忠
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 479-489

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抄録
歯科・口腔外科領域感染症を対象に新規経口用キノロン薬balofloxacin (BLFX) の臨床効果について検討した。患者は歯周組織炎63例, 歯冠周囲炎41例および顎炎52例の計156例 (男性75例, 女性81例) で, 重症10例以外は軽症 (75例) または中等症 (71例) の感染であった。
患者は1日200mg (分2または分1) または400mg (分2) を3~12日間服用した。その結果, 効果判定基準による有効率は歯周組織炎82.5%(52/63例), 歯冠周囲炎87.8%(36/41例), 顎炎94.2%(49/52例) で, 全体では87.8%であった。この有効率は感染症状の重症度や外科的処置の有無, あるいは1日用量によってほとんど影響されなかった。閉鎖膿瘍を有する67症例より分離された起炎菌は好気性グラム陽性菌52株, 好気性グラム陰性菌8株および嫌気性菌49株の計109株で, そのうち100株 (91.7%) が消失した。
副作用は軽い消化器症状や頭痛, 薬疹が7例 (4.4%) に発現したが.いずれも投薬中止または終了で速やかに回復した。臨床検査値異常変動も軽度の好酸球増多5例とLDH上昇1例のみで, 安全性上, 特に問題は認めなかった。
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