日本化学療法学会雑誌
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尿路感染症に対する経口用キノロン薬balofloxacinの臨床効果
松本 哲朗熊澤 淨一伊東 健治中島 信能佐藤 伸一尾本 徹男関 成人山口 秋人原 三信安東 定加治 慎一森田 一喜朗
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キーワード: 尿路感染症, 治療
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 595-599

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抄録
新しいキノロン系抗菌薬balofloxacin (BLFX) を泌尿器科領域感染症31例に投与し, その臨床効果, 安全性および有用性について検討した。
単純性尿路感染症11例において, 主治医判定では著効6例, 有効5例であり, またUTI基準合致例6例でも, 著効5例, 有効1例で, 有効率100%であった。複雑性尿路感染症では, 17例中著効8例, 有効3例, やや有効2例, 無効4例でUTI基準合致例10例では著効7例, 有効2例, 無効1例で, 有効率90%であった。急性前立腺炎1例ならびに非淋菌・非クラミジア性尿道炎1例も有効以上であった。
細菌学的には, 単純性尿路感染症での9株, 複雑性尿路感染症での17株ならびに急性前立腺炎の1株ともに本剤投与後全て消失した。
自他覚的副作用は嘔気, 胃部不快感が各1例, 頭痛・痛痒感が1例に認められた。
臨床検査値の異常変動は認められなかった。
以上より, BLFXは尿路感染症に有用な経口用キノロン薬であると考えられた。
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