日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
耳鼻咽喉科領域感染症に対するbalofloxacinの臨床効果
宮本 直哉馬場 駿吉横田 明伊藤 弘美加藤 薫甕 久人森部 一穂柘植 勇人木村 利男
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 642-647

詳細
抄録

新規経口用キノロン薬balofloxacinの耳鼻咽喉科領域感染症に対する臨床的検討を行った。評価対象症例数は副鼻腔炎9例, 化膿性唾液腺炎7例, 中耳炎5例, 扁桃炎4例, および咽喉頭炎1例の計26例で, 本剤1回当り100mgまたは200mgを1日2回, 3~14日間経口投与した。
臨床効果は「著効」20例,「有効」3例,「やや有効」2例および「無効」1例で, 全体の有効率は88.5%であった。感染症状の程度や1日用量による影響は認められなかった。起炎菌分離症例における有効率は12/14例 (85.7%) であった。起炎菌消失率は17/18菌株 (94.4%) で, 3菌種 (Coagulase-negative Staphylocoms, Staphylococcus epidermidis, Achrmobacter xylosoxidans) 複数菌感染症例のうちA. xylosoxidansのみが残存したものであった。
副作用, および測定した限りにおいての臨床検査値異常変動は1例も発現しなかった。
以上の成績より, 本剤は耳鼻咽喉科領域感染症に対して安全で, かつ高い臨床効果を期待しうる新しい経口用キノロン薬であることが示唆された。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top