日本化学療法学会雑誌
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Azithromycinの第I相試験
5日間反復投与試験
丁 宗鉄児玉 和夫矢船 明史武部 雅人高柳 博
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1995 年 43 巻 Supplement6 号 p. 164-176

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抄録

健常成人男子志願者で本試験参加に同意した12名を対象として, azithromycin (AZM) 500mg1日1回, 5日間反復投与時の安全性および薬物動態について検討を行った。
1. AZMの5日間反復投与時の血清中濃度推移は初回投与時と大きな差はなかった。また, 尿中への未変化体の排泄においても初回あるいは3日間投与時と変わらなかった。
2. 自他覚症状については, 軽度から中等度の頭痛, 腹痛, 軟便, 下痢, 上腹部圧迫感などが2例に認められたが, 臨床上特に問題となるほどではないと判断された。
3. 生理学的検査, 眼科的検査 (視力, 眼底検査) ならびに聴力検査については, 臨床上特に問題となる検査所見は認められなかった。
4. 臨床検査については, 末梢血白血球数の軽度減少が2例に認められたが, 一過性で, 臨床上問題とならない程度であると判断された。その他, 臨床的に意味のある異常変動は認められなかった。
5. 腸内細菌叢の検査では, 本剤による特に大きな変動はみられなかった。
以上より, AZM500mgを5日間反復投与した場合, 臨床使用上, 問題となる臨床所見は認められず, また, 血清中濃度推移ならびに尿中排泄においても異常な蓄積性が認められなかったことから, 臨床上安全性が高い薬剤であることが確認された。

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