1995 年 43 巻 Supplement6 号 p. 219-229
アザライド系抗菌薬azithromycin (AZM) について基礎的・臨床的検討を行った。
喀痰由来Streptococcus pneumoniae計39株および血液由来S. pneumoniae 8株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) の測定を行った。喀痰由来のS. pneumoniae 39株のうち28株はbenzylpenicillin (PCG) に対するMICが0.1μg/ml未満のpenicillin sensitive S. pneumoniae (PSSP), 11株はPCGに対するMICが0.1μg/ml以上のpenicillin insensitive S. pneumoniae (PISP) であった。また, 血液由来のS. pneumoniaeは全てPSSPであった。喀痰由来のPSSPに対する本剤のMIC50, MIC80は0.05μg/ml, >100μg/mlであった。PISPに対するMIC50, MIC80は0.78μg/ml, >100μg/mlであった。血液由来のPSSPに対するMIC50, MIC80は0.05μg/ml, 0.39μg/mlであった。
41例の呼吸器感染症について臨床的検討を行った。症例の内訳は急性気管支炎2例肺炎10例, マイコプラズマ肺炎1例, 慢性気管支炎18例, 気管支拡張症に伴う感染症3例, びまん性汎細気管支炎に伴う感染症1例, 気管支喘息に伴う感染症3例, 肺気腫に伴う感染症1例, 肺線維症に伴う感染症2例であった。用法・用量はAZM250mgまたは500mgを1日1回食後投与とし, 投与期間は原則として3日間とした。
臨床効果は著効9例, 有効19例, やや有効7例, 無効3例・判定不能3例で判定不能を除いた有効率は73.7%(28/38) であった。
副作用は認められなかったが, 臨床検査値の異常変動として好酸球の増多が1例, Kの減少が1例およびKの増加が1例に認められた。