日本化学療法学会雑誌
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新規アザライド系抗菌薬Azithromycinの細菌学的評価
長島 正人舘田 一博松本 哲哉大野 章石井 良和宮崎 修一山口 惠三
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キーワード: 抗菌力, 耐性獲得
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1995 年 43 巻 Supplement6 号 p. 8-23

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抄録

新規アザライド系抗菌薬であるazithromycin (AZM) のin vitroおよびin vivo抗菌力をerythromycin (EM), clarithromycin (CAM), josamycin (JM), midecamycin acetate (MDM), kitasamvcin, rokitamycin, ampicillin, cefaclor (CCL) およびofloxacin (OFLX) と比較した。また, AZMに対する試験管内耐性獲得も比較検討した。
AZMはグラム陽性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有し, さらに被検マクロライド系抗菌薬と比較してグラム陰性菌に対し強い抗菌活性を示した。AZMのmethicillin-susceptible Staphylococcus aureus に対するMIC90はEMの2倍, CAM の4倍であった。また, Streptococcus pneumoniaeに対するAZMのMIC90はEMと同等, CAMの2倍であった。AZMはPenicillinase-producing Neisseria gonorrhoeae, Vibrio choleraeおよびVibrio parahaemolyticus に対して対照のマクロライド系抗菌薬中最も強い抗菌力を示し, そのMIC90はそれぞれ0.20, 1.56および1.56μg/mlであった。さらに, Haemophilus influenzaeに対してAZM (MIC90: 3.13μg/ml) はEMの4倍, CAMの8倍強い抗菌力を示した。増殖曲線に及ぼす影響の検討において, 1MIC添加時のAZM の殺菌力は, S. aureusではEMより強く, CAMと同等であり, S. pneumoniaeに対しては, 試験薬剤中最も優れていた。S. aureusの継代耐性獲得試験において, 21継代後のMIC80はAZMで2倍, CAM, JMおよびOFLXで4倍, EMおよびCCLで8倍上昇し, AZMが最も低い上昇率であった。
マウス全身感染におけるAZMの治療効果は, S. aureus感染ではCCL, CAMより劣っていたがStreptococcus pyogenesおよびS. pneumoniae感染では比較マクロライド系抗菌薬中最も優れていた。AZMはマウスS. pneumoniae肺炎モデルではCAMおよびOFLXより, H. influenzae肺炎モデルではCAMより有意 (p<0.01) に肺内生菌数を減少させた。
AZMのマウス血清中灘および肺内灘のT1/2はCAMよりそれぞれ8倍および10倍長く, 良好な体内動態を示すことが本薬の治療効果に大きく反映したものと考えられる。

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