日本化学療法学会雑誌
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Ceftazidime耐性Klebsiella pneumoniaeおよびEscherichia coliの疫学的な検討
黒川 博史樋渡 恒憲鈴木 和夫荒川 宜親
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1996 年 44 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

1994年9月から1995年8月までの1年間に, 当施設で感受性検査を実施したKlebsiella Pneumoniae16, 915株, およびEscherichia coli23, 568株の中からceftazidime (CAZ) に耐性を示す株を選び, 分離された施設の地理的分布ならびにaztreonam (AZT), latamoxef (LMOX), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ), oefpirome (CPR), cefminox (CMNX), ceftizoxime (CZX), piperacillin (PIPC) の7種類のβ-ラクタム剤に対する感受性パターンを調査した。その結果, CAZに耐性を示すK. pneumoniaeが全国で41株確認され, その分離施設も神奈川県5施設 (30株), 静岡県1施設 (5株), 東京都2施設 (5株), 山口県1施設 (1株) と全国的に分布している事実が再確認された。CAZ耐性のK. pneumoniaeはAZTやPIPCに対しても高度耐性を示す傾向がみられたが, 他の5剤に対しては中等度の耐性あるいは感受性を示す傾向が認められた。同様にCAZ耐性のE.coliも8施設 (25株) と全国的に分離されつつある現状が確認された。それらは, CAZ耐性K. pneumoniaeと同様にAZTやPIPCに対して高度耐性を示す傾向がみられたが, 他の5剤に対してはK. pneumoniaeよりも高度耐性を示す傾向が認められた。さらに, 一部の医療機関では, 同一病棟の複数の患者よりCAZ耐性菌が持続的に分離され続け, 院内感染が懸念された。このような状況のなかで, CAZ耐性菌の増加を抑えつつ, 適切な化学療法を実施するためには, 定期的な薬剤感受性検査にもとつく適切な抗生剤の選択が, より一層重要になるものと思われた。

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