日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
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女子急性単純性膀胱炎に対するlevofloxacin単回投与療法
3日間投与法との比較検討
森田 辰男坂田 浩一小林 実橋本 紳一村木 淳郎小林 裕中村 昌平徳江 章彦菊地 敬夫原 暢助石川 真也
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1996 年 44 巻 12 号 p. 890-895

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抄録

急性単純性膀胱炎に対するlevofloxacin (LVFX) 単回投与法の有用性を客観的に評価するために, 本剤200mg単回投与と1回100mg1日2回3日間投与とを比較検討した。また, 尿中Interleukin-8 (IL-8) をEHSA法にて測定した。UTI薬効評価基準の患者条件を満たす臨床効果判定可能症例は44例であり, 封筒法によって, 単回投与群 (22例) と3日間投与群 (22例) に振り分けた。両投与群の背景因子に有意差はみられなかった。投与後3日目および7日目における総合有効率は, 両投与群ともに100%であった。投与後3日目および7日目における除菌率は, 両投与群ともに100%であった。治療前の尿中IL-8値は高値を示したが, LVFX投与後3日目には尿中IL-8値は有意に低下した。また, 尿中IL-8値は, 尿中白血球数と有意な正の相関を示した。副作用およびアンケート調査による再発に関しても検討したが, 両投与群とも明らかな副作用あるいは再発を認めなかった。臨床的有効率, 副作用および再発率に関して, 両投与群間で有意差はなく, LVFX200mg単回投与は, 急性単純性膀胱炎に対する治療法として有用であることが明らかとなった。

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