日本化学療法学会雑誌
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In vivo pharmacokinetic modelによるmethicillin耐性Staphylocoocus aureusに対するvancomycinとcefoselisの併用治療効果
波多野 和男若井 芳美東 廉之渡辺 裕二
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キーワード: MRSA, 併用
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1996 年 44 巻 4 号 p. 213-219

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抄録

ヒト血漿中薬剤濃度推移をマウスの血漿中濃度に再現するin vivo pharmacokinetic modelを用いて, methicillin耐性Staphylococeus aureus (MRSA) 呼吸器感染に対するvancomycin (VCM) とcefoselis (CFSL) の併用治療効果を検討し, 本併用の臨床での有用性を予測した。CFSLの1gまたはVCMの250mg単独での治療効果に対してこれらの同時併用では明らかに治療効果の増強が認められ, CFSLを4時間先行後VCMで治療するとさらに高い治療効果が認められた。一方, CFSL, の1gとVCMの125mgを同時併用した場合の治療効果はVCMの500mg単独時の治療効果と同等で, 併用時のVCMを250mgとしたときの治療効果はVCMの500mg単独時のそれより優れた。また, CFSLとVCMの併用効果をflomoxef (FMOX) とVCMの併用時のそれと比較すると, 同時投与およびβ-lactam先行後VCM併用投与のいずれの場合においてもCFSLとVCMの併用による治療効果の方が優れた。以上の結果はMRSAの臨床治療におけるVCMとCFSLの併用の有用性が高いことを示唆した。

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