1996 年 44 巻 7 号 p. 557-559
ヌードマウス移植ヒト胃癌株 (SC-1-NU) を用い, 5-fluorouracil (5-FU) bolus投与による腫瘍組織内のthymidylate synthase (TS) およびRNA中に取り込まれた5-FU (F.RNA) の変動を検討した。TS阻害率は5-FU投与後速やかに高値に達した (40mg/kg;93.4%, 10mg/kg;74.9%)。一方, F-RNAはピーク (40mg/kg;111ng/mg-RNA, 10mg/kg;21.8ng/mg-RNA) に達するまでに12時間を要した。ピーク以後のTS阻害率およびF-RNAの低下は緩やかで, 特に40mg/kg投与では, 96時間後でもある程度の作用 (TS阻害率;40.1%, F-RNA;31.1ng/mg-RNA) を持続していた。治療実験に準じた連続投与 (40mg/kg 4日毎投与および10mg/kg連日投与) では, TS阻害率およびF-RNAの最低値は次第に高値となる傾向を認めた。5-FU bolus (特に大量) 投与ではDNAおよびRNAに対する作用の持続性が認められ, 間歇投与でも良好な抗腫瘍効果を期待しうると考えられた。