日本化学療法学会雑誌
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皮膚感染症およびアトピー性皮膚炎由来の黄色ブドウ球菌の抗菌薬感受性とコアグラーゼ型別について
神崎 寛子上枝 万純森下 佳子秋山 尚範荒田 次郎
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1996 年 44 巻 9 号 p. 741-745

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抄録

1993年9月から1995年10月までの問に皮膚科領域で分離された黄色ブドウ球菌344株について, 皮膚感染症 (191株) およびアトピー性皮膚炎 (153株) に分けて各種抗菌薬の感受性, コアグラーゼ型, β-ラクタマーゼ産生能を測定し, 過去の当科よりの報告との比較を加え, 検討した。皮膚感染病巣より分離された191株のうちメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) は62株 (32.5%) であり, MRSAの増加は認められていない。vancomycinに対する耐性株は認められず, fusidic acid, imipenem は耐性率が低かった。ofloxacin, minocyclineの耐性菌はわずかではあるが減少傾向にある。コア グラーゼ型はIII, I, II, V, VII型の順に多く, IV型が減少し, III型が増加してきている。アトピー性皮膚炎の湿疹病変より分離した153株中MRSAは26.4%で増加傾向は認められていない。コアグラーゼ型はIII, VII型が多く認められた。感染症由来株と同様にIII型が増加してきている。β-ラクタマーゼ産生株は感染症由来株 (85.9%), アトピー性皮膚炎由来株 (81.7%) 共に徐々ではあるが増加傾向にある。

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