日本化学療法学会雑誌
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ニューキノロン系抗菌薬NM441の基礎的研究および呼吸器感染症に対する臨床的検討
那須 勝山崎 透平松 和史一宮 朋来時松 一成河野 宏橋本 敦郎後藤 陽一郎立川 良昭中野 忠男菅原 弘一伊東 盛夫
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1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 350-355

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抄録

新しく開発されたニューキノロン系抗菌薬NM441について臨床分離株に対する抗菌力の測定, ヒトへ投与した場合の血清中濃度, 喀痰中移行濃度の測定および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1) 抗菌力: 臨床材料から分離した18菌種741株について, 日本化学療法学会規定の方法により, NM441の活性本体であるNM394の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ofloxacin (OFLX), lomeflo-xacin (LFLX), tosufloxacin (TFLX) の抗菌力と比較した。NM394はTFLXに劣るが, OFLXと同等以上, LFLXよりも優れていた。
2) 血清中および喀痰中移行濃度: 慢性呼吸器疾患の二次感染例に NM441 1日量400mgを2回に分けて7日間経口投与し, NM394の血清中および喀痰中濃度を測定した。最高濃度は各々1.12, 0.35μg/mlであった。
3) 臨成績: 呼吸器感染症3例を対象に NM441 1日量400mgを2回に分けて7日間または11日間経口投与した。臨床効果は「有効」2例, 「やや有効」1例であった。本薬投与による自・他覚的副作用および臨床検査値の異常変動は認められなかった。

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