日本化学療法学会雑誌
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NM394の尿中抗菌力, 白血球殺菌能に及ぼす影響
後藤 博一大石 幸彦小野寺 昭一清田 浩川原 元五十嵐 宏細部 高英斑目 旬
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1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 387-392

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抄録

尿路感染症に対するNM441の有用性を明らかにするため, NM394の尿中抗菌力と白血球殺菌能に及ぼす影響を検討し, さらに慢性複雑性尿路感染症4例にNM441を投与した。
1) 尿中抗菌力: 健常人から得た尿を用いて, NM394の抗菌力に及ぼす尿のp H, マグネシウム濃度, カルシウム濃度の影響について検討した。その結果, NM394のMBCは尿のp Hが酸性に傾くほど, また尿中マグネシウム濃度が高いほど, 抗菌力は低下した。尿中カルシウム濃度は抗菌力に影響を及ぼさなかった。
2) 白血球殺菌能に及ぼす影響: 健常人の静脈血から分離した好中球および単球を, NM394存在下と非存在下にてphorbol myristat eacetateで刺激し, 白血球殺菌能の指標である活性酸素産生能をchemiluminescence法により測定した。好中球の活性酸素産生能はNM394の存在下で抑制され, その度合いは低濃度ほど強かった。単球については1μg/mlのNM394存在下では影響されず, 10μg/mlで抑制され, 100μg/mlでは増強された。
3) 慢性複雑性腎盂腎炎1例と慢性複雑性膀胱炎3例に本剤1回100mgを1日2回, 5~9日間経口投与し, その有効性をUTI薬効評価基準により判定し, 副作用と血液・生化学検査異常の有無をみた。その結果, 「著効」1例, 「無効」3例で, 自他覚的副作用および臨床検査値の異常変動は認められなかった。
以上, NM441について主として基礎的検討を行った。NM441は尿路感染症に対して, さらに検討を重ねるに値する薬剤であると考えられた。

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