日本化学療法学会雑誌
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高齢者における経口抗菌薬の薬物動力学的研究
高本 正祇原田 進原田 泰子北原 義也加治木 章石橋 凡雄
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1998 年 46 巻 8 号 p. 303-307

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抄録

Pazufloxacin, cefteram pivoxil, faropenem, cefditoren pivoxil, sparfloxacin 各薬剤について63歳以上の高齢者の血中濃度を測定し, pharmacokinetic parameterを計算し健康人の成績と比較し以下の成績を得た。
1) 健常人の成績と比較し, T1/2, Tmaxは延長したがCmaxは不変, AUCは薬剤によってばらつきがみられた。
2) 抗菌剤を腎排泄型と胆汁排泄型に分類し, 腎排泄型は腎機能によってAUCは規定されるが潜在的腎機能不全の存在も考えられるのでCcrの検査が重要である。
3) 一方胆汁排泄型 (1剤のみであった) では肝機能の成績との関係が考えられたが相関は得られなかった。しかしAUCは健常人の1.5倍であった。投与量は健常人の2/3程度が妥当と思われる。
4) 高齢者の投与量は各種検査および体重を参考にして慎重に決定すべきと考える。

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