日本化学療法学会雑誌
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複雑性尿路感染症に対するgatifloxacinとlevofloxacinの比較検討
河田 幸道他
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1999 年 47 巻 10 号 p. 662-679

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抄録

8-メトキシキノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) の複雑性尿路感染症に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的でlevofloxacin (LVFX) を対照薬剤とした二重盲検比較試験を実施した。対象は尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症で, 患者条件はカテーテル非留置の20歳以上, 原則80歳未満で, 5コ/hpf以上の膿尿と104CFU/mL以上の細菌尿を有する症例とした。GFLXは200mgを1日2回, LVFXは100mgを1日3回, 7日間経口投与した後, UTI薬効評価基準 (第3版) に従い臨床効果を判定し, 以下の成績を得た。
1. 総投与症例248例のうち有効性の評価対象症例は, GFLX群97例, LVFX群98例で, 両群間の症例の背景因子に有意差を認めなかった。総合臨床効果における有効率はGFILX群93.8%, LVFX群86.7%で有意差を認めず, これをUTI疾患病態群ごとに比較した場合にも, 有意差を認めなかった。総合臨床効果について△=10%とした同等性の検定では, GFLXはLVFXとの同等性が検証された。
2. 細菌学的効果における菌消失率はGFLX群93.2%(148株中138株消失), LVFX群912%(147株中134株消失) で有意差を認めなかった。投薬後出現細菌はGFLX群8例 (8.2%) から8株, LVFX群14例 (14.3%) から16株分離されたが, 出現頻度, 出現菌種の内訳について両群間に有意差を認めなかった。
3. 副作用はGFLX群123例中の9例 (7.3%), LVFX群123例中の9例 (7.3%) に認められ, また臨床検査値異常はGFLX群の5.4%(111例中6例), LVFX群の3.6%(110例中4例) に認められたが, いずれも両群間に有意差を認めなかった。副作用および臨床検査値異常に重篤なものはなかった。概括安全度におけるほぼ安全以上の安全率はGFLX群93.0%, LVEX群94.7%で有意差を認めなかった。
4. 治験担当医師が判定した有用性において, 平均スコアはGFLX群で83.7, LVFX群で77.6であり, 両群問に有意差を認めなかった。
以上の成績から, GFLXの200mg 1日2回投薬は, 複雑性尿路感染症の治療においてLVFXの100mg 1日3回投薬と臨床効果で同等性が検証され, LVFXと同様に有用であると考えられた。

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