日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
抗菌薬のアレルゲン性の検討
八木 元広宇野 勝次栗原 敬子鈴木 康稔関根 理服部 浩之山口 文恵
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 47 巻 4 号 p. 190-195

詳細
抄録

臨床試験と基礎実験から経口抗菌薬の抗原性を検討した。臨床では, 過敏症原性とアレルゲン性で検討した。過敏症原性は (経口抗菌薬過敏症疑診患者数/経口抗菌薬服用患者数) ×100, アレルゲン性は (白血球遊走阻止試験陽性患者数/経口抗菌薬服用患者数) ×100で求めた。基礎では, モルモットを用いたMaximization test (MT) で検討した。過敏症原性は, 経口抗菌薬全体で0.411を示し, 薬剤別ではβ-ラクタム系薬剤が0.401 (ペニシリン系が0.632, セフェム系が0.308), キノロン系薬剤が0.128, マクロライド系薬剤が0.353, テトラサイクリン系薬剤が0.731, その他の抗菌薬が4.225であった。アレルゲン性は, 経口抗菌薬全体では0.271を示し, β-ラクタム系薬剤が0.240 (ペニシリン剤が0.486, セフェム系が0.171), キノロン系薬剤が0.043, マクロライド系薬剤が0.136, テトラサイクリン系薬剤が0.418, その他の抗菌薬が1.408であった。β-ラクタム系薬剤がキノロン系薬剤に比べ有意に高い過敏症原性 (p<0.001, x2検定) およびアレルギー原性 (p<0.005, χ2検定) を示した。また, アレルゲン性は過敏症原性と高い相関性を示した (r=0.977, p<0.001)。MTでは, β-ラクタム系薬剤の4剤がすべて陽性を示したが, キノロン系薬剤は4剤中1剤しか陽性を認めなかった。また, 皮膚反応の平均スコアもβ-ラクタム系薬剤の20.8に対しキノロン系薬剤は3.2で, β-ラクタム系薬剤がキノロン系薬剤より有意 (p<0.01, Wilcoxonの順位和検定) に高い抗原性を示した。以上の臨床試験および基礎実験から, β-ラクタム系薬剤はキノロン系薬剤に比べ抗原性 (アレルゲン性) が高いと考えられる。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top