日本化学療法学会雑誌
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Pazufloxacin注射薬の細菌学的検討
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1999 年 47 巻 Supplement1 号 p. 37-64

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抄録

新規注射用ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin mesilate (PZFXmesilate) の注射薬としての特徴を明らかにするために, in vitroおよびin vivo抗菌作用をceftazidime (CAZ) を中心にimipenem (IPM), gentamicin (GM), ciprofloxacin (CPFX) と比較した.
PZFXmesilateの抗菌活性本体であるpazufloxacin (PZFX) は各種グラム陽性菌とグラム陰性菌に対し, IPM, CPFXと同様でCAZ, GMより幅広い抗菌スペクトルを示した. 臨床分離グラム陽性菌のうち, Streptococcus属に対するPZFXのMIC90.は3.13μg/mlで, その抗菌力はIPMCPFXより劣ったがキノロン薬感受性のstaphylocooccus属, Enterococcus属に対するMIC90は0.2~6.25μg/mlでCAZより優れていた. セフェム耐性腸内細菌群, CAZ, IPMとGM耐性Pseudonas aeruginosaを含むグラム陰性菌に対するPZFXのMIC90.は0.025~50μg/mlであり, ほとんどの菌種に対してCAZ, IPM, GMより優れていた.
4MICで選択したときの各種菌株におけるPZFXの自然耐性菌出現頻度は3.1×10-10~2.9×10-8で, 誘導型β-lactamaseを産生するEntmbacter cloacae, atrobacter freundii, P. aeruginosaではCAZより低かった.
PZFXはStaphylococcusaureus, Escherichiacoli, Paeruginosaに対し, 1MIC以上の濃度で殺菌的に作用し, その短時間殺菌力はCAZ, IPMより強かった。また, 増殖期のS. aureus, P. aeruginosaにヒト臨床用量の血中Cmaxに相当する濃度を作用させた時の殺菌作用はCAZ, GMより強かった。さらに, PZFXはP. aruginosaに対してCAZ, IPMより強いPAEを示した.
PZFXmesilateは他剤耐性菌を含むグラム陽性, 陰性菌によるマウス全身感染モデルに対し, CAZより1.45~496倍強い感染防御効果を示した。また, 実験的呼吸器感染モデル, 尿路感染モデル, 背部皮下感染モデル, CMCポーチ感染モデルに対してもPZFXmesilateはCAZより強い治療効果を示した.

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