日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
慢性気道感染症に対するgatifloxacinの用量設定試験
斎藤 篤他
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 47 巻 Supplement2 号 p. 419-437

詳細
抄録

フルオロキノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) の呼吸器感染症に対する至適臨床用量を検討する目的で, 慢性気道感染症を対象として100mg×2回/日 (L群), 150mg×2回/日 (M群), 200mg×2回/日 (H群) の3群間で無作為割付けによる二重盲検群間比較試験を実施した。成績の概略は以下のとおりであった。
1) 臨床効果: 臨床効果の解析対象例は104例で, 3群の有効率はL群97.1%(33/34), M群87.5%(28/32), H群94.7%(36/38) であり有意差は見られなかった。3群の著効率はそれぞれL群5.9%(2/34), M群6.3%(2/32), H群21.1%(8/38) であった。
2) 細菌学的効果: 細菌学的効果の解析対象例は59例で, 3群の細菌学的効果 (菌陰性化率) はL群75.0%(18/24), M群76.5%(13/17), H群72.2%(13/18) であった。
3) 安全性: 副作用の解析対象例は114例で, 3群の副作用発現率はL群5.1%(2/39), M群2.9%(1/35), H群7.5%(3/40) であった。また, 臨床検査値の解析対象例は106例で, 3群の臨床検査値異常発現率はL群14.7%(5/34), M群0%(0/34), H群5.3%(2/38) であった。
4) 有用性: 有用性の解析対象例は107例で, 3群の有用率はL群94.3%(33/35), M群84.9%(28/33), H群92.3%(36/39) であった。
慢性気道感染症に対するGFLXの臨床効果および細菌学的効果において3群間でほぼ同様の結果が得られ有意差は見られなかったが, 投与量群別臨床効果におけるH群の有効率は94.7%(36/38) であり, さらに著効率は21.1%(8/38) とL群5.9%(2/34) 及びM群6.3%(2/32) より高かった。層別解析の結果, 気管支拡張症 (感染時) 及び重症度別臨床効果の中等度のH群がL及びM群より優れていた。一方, 副作用及び臨床検査値異常に用量依存性はみられず, 副作用の種類や程度も各群間で同様なものであった。
以上の結果より, 慢性気道感染症に対するGFLXの至適臨床用量は200mg×2回/日が妥当と考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top