日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
Gatifloxacinの内科領域における臨床評価
斎藤 篤
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 50 巻 10 号 p. 646-673

詳細
抄録

Gatifloxacin (GFLX) の内科領域感染症に対する臨床試験は1992年1月より開始され, 一般臨床試験3試験, 用量設定試験ならびに二重盲検比較試験2試験の計6試験が1998年10月まで実施され, それらの成績はすでに公表された。その後, 製造承認申請に伴う規制当局による実地調査でGCP不適合症例が指摘されたため, 申請者である治験依頼者が原資料との照合調査を実施した。その結果, 一部の症例に実施計画書違反が新たに判明したため症例の採否を再検討し, 再度の集計解析を行った。再解析の結果は以下の通りである。
1. 一般臨床試験
一般臨床試験における疾患別有効率は肺炎91.8%(78/85), 慢性気管支炎の急性増悪93.8%(61/65), 気管支拡張症 (感染時) 92.1%(35/38), 慢性呼吸器疾患の二次感染97.0%(32/33) であった.
2.用量設定試験 (慢性気道感染症)
L群 (100mg×2回/日), M群 (150mg×2回/日) ならびにH群 (200mg×2回/日) の投与量群別有効率はそれぞれ97.1%(33/34), 86.7%(26/30), 94.3%(33/35) であった>3群間に有意差はみられなかったが, 臨床推奨量は1回200mg, 1日2回が妥当と考えられた.
3.二重盲検比較試験
1) 肺炎に対するlevofloxacin (LVFX) との二重盲検比較試験の薬剤群別有効率はGFLX群98.0%(97/99), LVFX群94.9%(94/99) で, GFLX群のLVFX群に対する同等性 (非劣性) が検証された.2) 慢性気道感染症に対するLVFXとの二重盲検比較試験の薬剤群別有効率はGFLX群98.9%(91/92), LVFX群78.7%(70/89) で, GFLX群のLVFX群に対する同等性 (非劣性) が検証されるとともに両薬剤群間に有意差がみられた.
4.喀痰への移行性の検討
慢性気道感染症患者におけるGFLXの最高喀痰中濃度は1.45-7.11μg/mLに分布し, 喀痰/血清の濃度比は1.09-6.25であった。以上の再解析結果はすでに公表された成績と大差なく, GFLXは呼吸器感染症にとって臨床的有用性がきわめて高い薬剤と考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top