日本化学療法学会雑誌
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Micafunginとamphotericin B, itraconazoleおよびfluconazoleとの併用効果
二木 芳人吉田 耕一郎松島 敏春中島 正光中井 徹大友 寿美若井 芳美松本 哲波多野 和男池田 文昭武藤 誠太郎
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2002 年 50 巻 Supplement1 号 p. 58-67

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抄録

Candida albicans, Aspergillus fumigatusおよびcryptococcus neoformansに対するキャンディン系抗真菌薬micafungin (MCFG) とamphotericin B (AMPH-B), itraconazole (ITCZ) およびfluconazole (FLCZ) とのin vitro併用効果を, チェッカーボード法を用いて検討した。C.albicansに対してMCFGとAMPH-B, ITCZおよびFLCZとを併用することにより, それぞれ41%, 85%および85%の株に相加作用が認められた。A.fumigatusに対しても同様に, それぞれ67%, 87%および13%の株に相加以上の作用を示した。C.neofbrmansに対しては, AMPH-Bと併用したとき67%の株に相乗作用, 33%に相加作用が認められた。C.neoformansに対してITCzと併用すると, 83%の株に拮抗作用が認められた。In vitroで相加作用が認められたA.fumigatus IFM 40836を用いて, マウス肺アスペルギルス症モデルに対するMCFGとAMPH-Bのin vivo併用効果を検討した。感染6日後におけるMCFGの2mg/kgとAMPH-Bの0.5mg/kgとを併用投与した群の肺内生菌数は, control群だけでなくそれぞれの単独投与と比較しても有意に低値であった。病理組織学的に検討した肺組織傷害, 菌糸の伸長および好中球浸潤に対しても, 併用投与群では強い抑制効果を示した。さらに, MCFGの1mg/kgとAMPH) 1Bの0.25mg/kgとを併用投与したとき, それらの2倍用量であるMCFGの2mg/kgおよびAMPH-Bの0.5mg/kgをそれぞれ単独投与したときと比較して高い有効性を示し, 治療効果が相乗的であることが示された。以上のように, in vitro, in vivoのいずれにおいてもMCFGはAMPH-Bとの問に優れた併用効果を示し, これら2薬剤の併用療法が臨床的にも有効である可能性が示唆された。さらに, MCFGと他の既存薬との併用療法についても臨床での有用性が期待される。

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