日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
Streptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeによるマウス肺混合感染モデルに対するcefditoren pivoxilの治り療効果
金子 真紀高田 利彦清水 敦之新井田 昌志武藤 祐子渡部 宏臣
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 51 巻 10 号 p. 626-630

詳細
抄録

Streptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeによるマウス肺混合感染モデルを構築し, cefditoren pivoxil (CDTR-PI) の治療効果とcefbapene pivoxil (CFPN-PI), cefpodoxime proxetil (CPDX-PR), amoxicillin (AMPC), amoxicillin/clavulanic acid (AMPC/CVA) およびlevofloxacin (LVFX) の治療下効果を比較した。CDTR-PIは, penicillin感受性S.pmumoniae (PSSP) とβ-lactamase非産生ABPC耐性H.influenzae (BLNAR) による混合感染モデルに対し, 投与量依存的に治療効果を示した。同モデルにおけるPSSPに対するCDTR-PIの治療効果は他経口β-lactam系薬と同等であり, LVFXに比べて高かった。BLNARに対するCDTR-PIの治療効果はLVFXと比較して低かったが, 他の経口β-lactam系薬に比べて同等以上であり, CPDX-PRおよびAMPCに比べて高かった。PSSPとABPC感受性H.influenzaeによる混合感染モデルでは, PSSPに対するCDTR-PIの治療効果は他経口セフェム系薬のそれと同等でありLVFXに比ベ有意に高かった。ABPC感受性H. influenzaeに対するCDTR-PIの治療効果は, 他経日セフェム系薬に比べ同等以上であったが, LVFXより低かった。CDTR-PIはS.PneumoniaeH.influenzaeによる混合感染モデルに対して, 両菌種に対するCDTRの強いin vitro抗菌力を反映し, 被験抗菌薬のなかでもっともバランスのよい治療効果を示すことから, 両菌種による複数菌感染の頻度が高い呼吸器感染症の治療に有用な抗菌薬であることが示唆された。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top