2004 年 52 巻 8 号 p. 433-439
2002年9月~2003年3月に慶應義塾大学中央臨床検査部にて血液培養検体から分離・同定した145株を対象とし, meropenem (MEPM) の抗菌力を対照薬剤とともに測定した。さらに, 本検討における成績を同様に調査した1997年10月-1998年3月の分離株および1999年1-6月の分離株における成績と比較することにより, MEPMに対する血液由来臨床分離株の感受性動向を検討し, 以下の結果を得た。
(1) MEPMは, カルバペネム系薬の中でも, グラム陰性菌に対して特に優れた抗菌活性を示し, Pseudomonas aeruginosaに対する耐性株 (MIC≧16μg/mL) も最も少なかった。
(2) MEPMを含むカルバペネム系薬は, グラム陽性菌のうち, 本来抗菌活性を期待できないmethicillinresistant Staphylococcus aureusなどのブドウ球菌の多剤耐性株に対する抗菌力は不十分であったが, その他の菌株に対してはおおむね良好な抗菌力を示した。
(3) 1997-1998年および1999年における分離株での成績と比較して, 2002年度分離株において, MEPM耐性株の顕著な増加は認められなかった。