日本化学療法学会雑誌
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病院感染と抗菌薬
品川 長夫
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2005 年 53 巻 9 号 p. 507-511

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抄録

院内感染症の治療においては, 個々の患者を効果的に完治させるということと, 耐性菌の出現を抑制するという少なくともこの2方面を考慮しなければならない。耐性菌の出現を抑制するには, まず保菌者や培養が陰性あるいは感染が確定しない患者には抗菌薬を使用しないこと, および感染が治癒した場合にはただちに抗菌薬を中止することなどにより抗菌薬の消費量を抑制すること, 抗菌薬の選択圧を上げないために特定の抗菌薬の使用を避け平均的に使用すること, また薬剤耐性獲得防止のためにも十分な投与量を考慮することなどが大切である。院内感染症の治療においては, 耐性菌増加防止を目指し, 適切な抗菌薬療法を心がけなければならないが, 同時に耐性菌のヒトからヒトへの感染防止などの院内感染対策, 特に接触感染防止を中心とする感染経路別の院内感染防止策も効果的に行わなければならない。

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