抄録
本研究は,大学生の内的作業モデル(Internal Working Model:IWM)と幸福観が主観的幸福感に与える影響を検討した。具体的にはまず,幸福観の指標を作成するために予備調査を行い大学生が幸せをどのように捉えているのかを明らかにした。その後,大学生168 名を対象に調査を行い,幸福観尺度の作成を試みた。その結果,「人間関係」「達成感」「ゆとり」「物理的充足」「余暇」の5 因子が確認された。続いて,IWM と幸福観が主観的幸福感に与える影響を検討した結果,ポジティブなIWM(自己観(anxiety)や他者観(avoidance)がポジティブ)の大学生は, 主観的幸福感が高いことが示された。加えて,他者観がポジティブで自己観がネガティブな大学生は,人間関係を幸せと捉えているほど幸福感が高まることが示された。また自己観,他者観がネガティブな大学生は,物理的充足を幸せと捉えているほど,幸福感が高まることが示された。