日本化学療法学会雑誌
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BAY 12-8039 (moxifloxacin) の皮膚科領域感染症に対する第III相臨床試験
荒田 次郎渡辺 晋一宮地 良樹古江 増隆
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2005 年 53 巻 Supplement3 号 p. 60-73

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抄録

新規ニューキノロン系合成抗菌薬BAY 12-8039 (moxifloxacin: MFLX) 錠の皮膚科領域感染症に対する有効性および安全性を, MFLXl回400mg1日1回7日間投与により検討した。
臨床効果は, I-a (急性表在性毛包炎) 群78.6%(22/28), I-b (伝染性膿痂疹, 尋常性膿瘡, 浅在性二次感染) 群93.8%(15/16), II-a (せつ, せつ腫症, 擁, 尋常性毛瘡, 急性化膿性爪囲炎, ひょう疽) 群73.2%(41/56), II-b (リンパ管炎, リンパ節炎, 丹毒, 蜂巣炎, 深在性二次感染) 群100%(12/12), III (感染性粉瘤, 化膿性汗腺炎, その他の皮下膿瘍) 群45.5%(15/33) であった。細菌学的効果は, I-a群78.3%(18/23), I-b群75.0%(12/16), II-a群75.5%(37/49), II-b群100%(4/4), III群69.0%(20/29) の菌消失率が得られた。
III群には菌は消失したにもかかわらず症状改善が十分でなかった症例が認められたが, III群は局所的な要因が先行するため抗菌薬のみの効果には限界があると思われ, 本治験では外科的処置を禁止したために有効率が低い結果となったと考えられた。HI群については, 今後のさらなる検討が望まれる。
副作用発現率は25.6%(40/156) で, 多く認められた症状は, 嘔気, 下痢, 胃部不快感などの消化器系の事象であったが, 症状の程度は軽度あるいは中等度であった。
以上より, MFLX錠は皮膚科領域感染症に対して有用性が期待できると考えられた。

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