日本化学療法学会雑誌
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無症候性健康成人男性 (大学生) におけるクラミジア, 淋菌, human papillomavirusの陽性頻度
国島 康晴
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2007 年 55 巻 2 号 p. 143-146

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抄録

女性の性器クラミジア感染症では無症候性感染の頻度が高く問題となっている。一方, 無症候性健康成人男性においても, Chlamydia trachomatisが尿中から数%の頻度で検出されると報告されている。われわれは無症候の健康男性ボランティアを対象とし, 若年健康成人男性におけるクラミジア, 淋菌, human papillomavirus (HPV) という性感染症起炎微生物の検出頻度について検討した。同時に性感染症の既往, 過去3カ月の性交回数性的パートナー数婚姻の有無, などについて無記名のアンケート調査を行った。参加者は204人で, 20~24歳が全体の2/3以上を占めていた。クラミジアは204人中7人 (3.4%) に, HPV中・高リスク型は12人 (5.9%) に, 低リスク型は1人 (0.5%) に認められた。淋菌は分離されなかった。204人の調査参加者においていわゆるsexually activeと考える男性は150人 (73.5%) であった。性的活動の指標である性交回数およびパートナー数とクラミジアあるいはHPV陽性率との関係では, これらの陽性者はいずれもsexually activeと考えられる150人に認められた。Sexuallyactiveと思われる男性におけるクラミジアの陽性率は4.7%, HPVの陽性率は8.0%であった。HPV陽性者ではパートナー数との相関が認められた。クラミジアの無症候感染は204人の健康男性の3.4%, いわゆるsexually activeな男性の47%に認められた。健康男性においてもクラミジアの無症候感染が存在することを確認する結果であった。無症候性性感染症は, 性的活動性を有する若年男性に認められ, 決して無視できる頻度ではないことが確認された。

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