日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
北部九州・山口地区におけるoxacillin低感受性および感受性Stapkylococcus aureusmec A遺伝子の保有状況
和田 明子村谷 哲郎小林 とも子後藤 令子木戸 直徳古賀 一将松本 哲朗
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 55 巻 5 号 p. 374-377

詳細
抄録

2005年に北部九州・山口地区において, oxacillin (MPIPC) のMIC4μg/mL以下を示すStaphylococcus aureusを対象とし, mecA保有の有無を検討した。さらにKirby Bauer diskを用いcefoxitin (CFX) の阻止円径および寒天平板希釈法によるMICの測定も実施した。収集された323株の微量液体希釈法によるMPIPCのMICは≦0.25~2μg/mLであった。mecA保有株は9株 (28%) 検出され, そのうち8株は, CFXの阻止円径21mm以下であり, Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) の基準によりMRSAと判定可能であった。mecA保有株の235%(4/17) は, 外来患者頗材料由来株であり年齢別では, 5歳以下の株が12.2%(5/41) を占めた。これら9株のうち外来患者由来7株はpulsed field gel electrophoresis (PFGE) により4パターンに分類され, 数種類のMPIPC感受性mecA陽性クローンが市中に広がっていると考えられた。mecA陽性でMPIPCによりMSSAと判定された株は, CLSIの推奨するCFX diskを用いることにより, 2.8%から0.3%まで減少した。しかし, MPIPC, CFXを用いても検出できないmecA保有株が存在したことから, 選択培地の使用なども考慮する必要がある。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top