日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
呼吸器感染症に対するsitafloxacinとlevofloxacinの二重盲検比較試験
小林 宏行渡辺 彰中田 紘一郎和田 光一二木 芳人河野 茂
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 56 巻 Supplement1 号 p. 36-48

詳細
抄録

ニューキノロン系抗菌薬sitanoxacin (STFX: DU-6859a) の肺炎および慢性肺疾患の感染性増悪に対する有効性および安全性を客観的に評価する目的で, levofloxacin (LVFX) を対照薬として二重盲検無作為化比較試験を実施した。
1日投与量は, STFX1回50mg1日2回 (STFX群), LVFX1回100mg1日3回 (LVFX群) とし, いずれも7日間経口投与した.有効性解析対象例208例に対する治験薬投与終了・中止時の臨床効果の有効率は, STFX群92.5%(99/107), LVFX群92.1%(93/101) であり, LVFXに対するSTFXの臨床効果の非劣性が検証された.疾患別の有効率は, 肺炎でSTFX群96.4%(53/55), LVFX群94.0%(47/50), 慢性肺疾患の感染性増悪でSTFX群88.5%(46/52), LVFX群90.2%(46/51) であった.細菌学的効果解析対象例97例における陰性化率は, STFX群78.4%(40/51), LVFX群80.4%(37/46) であった.原因菌別消失率は, グラム陽性菌でSTFX群95.0%(19/20), LVFX群87.5%(21/24), グラム陰性菌でSTFX群79.4%(27/34), LVFX群81.5%(22/27) であった.また, 安全性解析対象例230例における副作用発現率は, STFX群29.8%(34/114), LVFX群25.9%(30/116) であった.
以上の成績より, STFX1回50mg1日2回7日間投与は, 肺炎・慢性肺疾患の感染性増悪の治療に対して, LVFXと同様の有用性が期待できるものと考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top