地学教育
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中学生の火成岩鑑定能力の実態に関する調査と火成岩学習における効果的な学習方法の一考察
瀧本 家康 佐藤 鋭一
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2020 年 73 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

本稿では,中学校における岩石鑑定能力の向上に寄与する効果的な火成岩学習方法の一案を提示することを目的とし,火山岩(安山岩)と深成岩(閃緑岩)の2種類について,標本と岩石スケッチの識別能力調査を行った.その結果,深成岩を単独で観察した場合の正答率がその他に比して低いこと,火山岩と深成岩を比較することで,粒の大きさについてはその違いが明確化されるのに対して,粒の構成の仕方についてはやや見分けることが難しくなること,深成岩中の有色鉱物を斑晶,無色鉱物を石基と誤認する可能性があることが示唆された.これらのことから,本単元における学習として,火山岩と深成岩の2種類を比較観察すること,深成岩の無色鉱物と火山岩の石基を区別できるように指導することが生徒の組織識別能力の育成につながると考えた.

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