日本畜産学会報
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技術報告
コンピュータモニタ画面による牛肉色評価の基礎的検討
口田 圭吾植田 美緒岡本 圭介鈴木 三義三好 俊三鶴田 徹
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2002 年 73 巻 4 号 p. 521-528

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抄録

同一の枝肉横断面画像であっても, 入力デバイスの種類, 撮影時の照明条件, コンピュータモニタの種類や, その輝度, 色温度, コントラストなどの調整によって, 異なる色合いとして表現される. 本研究では, デジタル化された枝肉横断面画像を, 異なるコンピュータモニタにおいて, 同一の色合いとして表示するための手法について検討した. 個々のモニタの持つ特性を解消するために, カラーキャリブレータを使用し, 3台のコンピュータモニタのカラーキャリブレーションを実施したところ, 赤色の色度座標xは0.622から0.624, yは0.344から0.345の範囲にあった. 最も数値に差異が認められた緑色においても, その範囲は色度座標xの0.290から0.293であり, 3台のコンピュータモニタが非常に近い色合いを発色していることが確認された. 著者らにより開発された枝肉横断面撮影装置 (以下, 撮影装置) は, 鮮明かつ安定的に枝肉横断面画像を採取可能である. 同時期に開発された撮影装置は, 5台存在するが, 白色LEDやデジタルカメラの特性により, 同一の設計ではあるものの, それぞれの撮影装置で得られる画像の色合いは, 若干の差異が存在する. 撮影装置の特性を除去するために, 重回帰分析による色補正を行った結果, すべての撮影装置から得られた画像をほぼ同一の色合いで表示させることに成功した. また, 2台の撮影装置で同一の枝肉 (n=63) を撮影し, 画像解析によりBCSナンバーを推定したところ, 色補正前における推定BCSナンバーの平均値の撮影装置間差は0.51であったのに対し, 色補正後のそれは0.05と小さくなった.

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© 2002 公益社団法人 日本畜産学会
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