2003 年 74 巻 2 号 p. 195-202
乾燥コーヒー抽出残渣(Dried Coffee Grounds : DCG)を反芻家畜用飼料として開発するために以下の試験を行った.3頭のヒツジを供試して,DCGを添加して給与する二瓶選択法を応用した嗜好試験を行い,添加量と偏向率からDCGの嗜好性について評価した.さらに,5頭のヒツジに対し,チモシー乾草2 : 配合飼料8を混合した飼料のうち,乾草の0,25,50,75および100%をDCGで代替した5種の飼料を与え,5×5のラテン方格法により消化試験を行った.GoatcherとChurch(1970a, b)による,DCGの嗜好の下弁別閾値は6.54%と推定された.DCGの配合量の増加に従って,粗タンパク質,可溶無窒素物および粗繊維消化率が低下した.DCGをヒツジに給与することにより,第一胃内液の酢酸/プロピオン酸比は低下する傾向であった.また,DCG給与により反芻時間が有意に短縮した.以上の結果,反芻家畜の飼料へDCGを5%給与することは実用可能であると考えられた.