日本畜産学会報
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一般論文
牛糞堆肥の腐熟過程における有機物分解のデタージェント分析による評価
高橋 正宏
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2006 年 77 巻 2 号 p. 259-267

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抄録
豚糞モミガラ堆肥と同様に牛糞および牛糞オガクズ堆肥について堆肥化過程における有機物分解の特徴をデタージェント分析の手法を用いて評価することが可能か否かを検討した.それぞれの堆肥について窒素源としてグリシンを添加した.堆肥化過程の細胞内容物質(OCC),酸性デタージェント繊維(ADF),中性デタージェント繊維(NDF),NDF-ADF,酸性デタージェントリグニン(ADL),中性デタージェントリグニン(NDL)の含有率および分解率について調べた.NDF-ADFは2週後に分解が進み,その後徐々に分解し続けてもっとも分解率の高い成分となった.ADLはほとんど分解しなかったが,NDLは少し分解し,NDLとADLの値が逆転した.NDF-ADFおよびNDLは1週目からほぼ同時に分解し始めた.堆肥化過程のリグニン分解を調べるにはNDLが適していた.牛糞のNDF-ADFは12ヵ月後にほぼ100%分解し,オガクズのNDF-ADFはグリシン添加で24ヵ月後に100%分解したが,無添加では約60%しか分解しなかった.オガクズの酸性デタージェント溶液(AD)可溶有機物は易分解性有機物ではなかった.既存の文献値との類似性から,牛糞堆肥および牛糞オガクズ堆肥についてデタージェント分析を用いて堆肥化過程の有機物分解の特徴を評価することが可能であった.
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© 2006 公益社団法人 日本畜産学会
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