日本畜産学会報
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一般論文
繋ぎ牛舎におけるトンネル換気方式が夏季暑熱時の牛舎環境および牛体に及ぼす影響
長尾 慶和前田 憲政圷 一博市瀬 瑞樹
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2009 年 80 巻 3 号 p. 349-357

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抄録

夏季における乳牛の暑熱ストレスの軽減を目的とし,トンネル換気方式が夏季の繋ぎ牛舎環境および牛体に及ぼす影響について検討した.試験は宇都宮大学農学部附属農場(栃木県真岡市)において,14頭の乳牛を用いて行った.毎日15時に牛群を放牧場からスタンチョン式牛舎に収容し,牛舎内をトンネル換気方式(TV)または自然換気(NV)に設定して,翌朝6時まで測定を行った.牛舎環境については,TV区における牛舎内の平均風速は2.25 m/秒であり,NV区における0.23 m/秒に比べ大きかった(P < 0.01).牛舎内外の気温差は,TV区においてNV区に比べて小さく(P < 0.05),TV区では外気温に伴って低下した.CO2濃度は,NV区において700 ppm前後で推移したのに対して,TV区において600 ppm前後と低く推移した(P < 0.05).NH3濃度は,翌朝6時においてNV区で0.51 ppmに上昇したのに対して,TV区では0.12 ppmと低かった(P < 0.01).牛体については,翌朝6時において,呼吸数はNV区の54.2回に対してTV区において49.3回,体温はNV区で39.0℃に対してTV区で38.7℃と低かった(P < 0.05).TV区において,横伏臥頭数が増加する傾向が認められた.以上より,夏季繋ぎ牛舎におけるトンネル換気方式は,牛舎内に一定の風を引き起こし,効率的に換気することにより,牛舎内の気温やガス濃度の上昇を抑え,その結果,暑熱による乳牛の体温や呼吸数の上昇を抑制することが明らかとなった.

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© 2009 公益社団法人 日本畜産学会
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