日本畜産学会報
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一般論文
乳牛における分娩後の胎盤摂取が泌乳初期の採食量,採食行動および乳生産に及ぼす影響
宮地 慎小林 良次野中 和久
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2010 年 81 巻 2 号 p. 161-167

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抄録

乳牛の胎盤摂取が泌乳初期の採食量,乳生産量,採食行動に与える影響および胎盤の第一胃内分解特性を明らかにするため,経産牛を10頭供試し,分娩後に胎盤を摂取させる区(PF区)と無摂取区(NF区)に分け,分娩前1週から分娩後4週まで採食量,採食行動,乳生産量,血液性状を測定した.また,胎盤の第一胃内分解率については第一胃カニューレ装着去勢牛を供試しin situ法で測定した.採食量,体重,乳量および乳成分は処理間で差はなかった.分娩後7日間のミール回数はPF区がNF区より多く,分娩後10日間のミールサイズはPF区がNF区より小さく,継続時間は短かった.分娩後2週以降ではミールパラメータに処理間で差はなかった.血中総ケトン体および遊離脂肪酸濃度は分娩後5日間でPF区がNF区より低かった.また胎盤の第一胃内乾物分解率は5日間で70.9%に達するが,それ以降は増加しなかった.以上より,分娩後に胎盤を摂取した乳牛の泌乳初期の採食量,乳生産量は無摂取の乳牛と同様に増加することが示唆された.

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