1954 年 24 巻 4 号 p. 151-154
白色短毛種及びアンゴラ種の成兎, 合計12頭を2頭づつ6区に分け, 塩化コバルトを水溶液として経口的に給与し, その毒性の有無を19週間に亘つて検討した。給与したコバルトの量は, 1日体重1kg当り, 第1区0.05mg, 第2区0.1mg, 第3区0.5mg, 第4区1.0mg, 第5区5.0mg, 第6区10.0mg, とした。
19週間に亘る体重の変化をみるに各区間に少しも差が認められなかつた。血液所見においては, コバルトを比較的多く与えた第5区と第6区とにおいて, 赤血球数及びヘモグロビン量の若干の増加を認めた。白血球数および赤血球の直径においては各区間に差は認められなかつた。その他, 食慾, 飲思, 被毛の状態及び一般健康状態においても各区間に差異なくコバルトをかなり多給しても, 家兎においては毒性は現われないようである。ただし1日に, 体重1kg当り10mgのコバルトを6週間に亘つて給与した家兎の肝臓中にはかなりコバルトが蓄積され, 対照区のものの約50倍のコバルトがみられた。またかようなものの糞中にも, かなりのコバルトが含有され, 給与コバルトの相当量は糞中に排泄されるようである。