日本畜産学会報
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木曽馬集団の繁殖構造と有効な大きさ
野沢 謙富田 武江崎 孝三郎早川 純一郎尾藤 惇一近藤 恭司
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1962 年 33 巻 2 号 p. 160-164

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抄録

長野県西筑摩郡の農家に古くから飼養されているいわゆる木曾馬の集団は,戦争中はなはだしい雑種化を経験したが,終戦とともに,外部からの移入をほとんど完全に閉ざしている.最近の供用種雄馬の系統と産地を調査した結果,木曾馬の集団は,郡の北部に位する新開•開田の両村を種雄馬の主供給地とする単一の閉鎖集団を形作つていることが判明した.
集団の有効な大きさは,1年当たり約90で安定している.これを,1世代の年数(7.7年)と種雄馬の繁殖供用期間の平均値(4.6年)を使つて換算すると,1世代当たり約150の値となる.これは集団の近交係数が,1世代に約0.33%ずつ上昇することを意味する.
繁殖構造は著しいモザイク型を示し,そのため,種雄馬相互間で評価の競合が行なわれる余地は少ない.それ故,種雄馬の子の数の分布にはゆがみが少なく,分散係数は常に高い値を示している.

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