日本畜産学会報
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反芻動物の生体反応におよぼす環境温度と採食との影響
I. コーン•サイレージを給与した際の緬羊の生体反応と環境温度の関係
山本 禎紀梅津 元昌
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1965 年 36 巻 5 号 p. 137-144

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抄録

体重約37kg,毛長10-12cmの牡緬羊を使用し,10゜-37.5°の各実験環境温度下で,コーン•サイレージを一定量,一定時間内に採食させ,体熱産生量を同一の条件として,環境温度と緬羊の生体反応の関係を知らろうとした.
1. 呼吸数は環境温度と密接に関係する反応で,その増加の度合は環境温度に規制され,又,採食に伴う体熱産生とも深い関係にあつた.そのため呼吸数は体熱産生と放散との関係を現わす生体反応とみなした.
2. 毎分換気量は呼吸数とほぼ同じ傾向で変化した.又,一回呼吸気量は採食により増加し,経時的に減少した.すなわち,換気量は環境温度と関係し,体温調節の状態を現わす反応の一つであり,一回呼吸気量は採食に強く影響される反応であつた.
3. 心拍数は,環境温度に影響されず,主として採食と関係した.すなわち,心拍数は採食により増加し,増加した心拍数は採食後漸減し,その減少は5時間に40回/分に及ぶものであつた.
4. 直腸温は,環境温度にほとんど影響されず,主として採食による影響を認めた.
5. いずれの生体反応にも,採食の影響が明らかに認められ,特徴的なものであつた.

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