日本畜産学会報
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揮発性硫黄化合物のBrevibacterium linensによる生成
鴇田 文三郎細野 明義
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1968 年 39 巻 3 号 p. 127-132

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抄録
Brevibacterium linensにより生産される揮発性硫黄化合物(VSC)の成分組成を明らかにする目的でその培養液を用いて本実験を行なつた.VSCの定性法として酢酸鉛,シアン化第二水銀,塩化第二水銀を入れたトラップを連結させ,これにより培養液中のH2S,メルカプタン,サルファイドおよびジサルファイドをそれぞれ調べた.また,その他の定性試験法によつてもそれらVSCを定性的に調べた.さらに,B. linensの生産する独特な風味とVSCとの関連を官能審査により検討した.含硫アミノ酸からのH2S生成については定量的に検討した.得られた結果は次のとおりである.
(1) 培養液をHg(CN)2およびHgCl2に加えると培養液の独特な風味がほとんどまたは全く消失することが官能試験の結果から認められることから,VSCがその風味の主成分の1つであることが考えられる.
(2) VSCとして,H2S,メルカプタンおよびジサルファイドが検出され,中でもH2Sの生成量は顕著であつた.メルカプタンのDNFLB誘導体の薄層クロマトグラフィーによりメチルメルカプタンと1つの未知物質を検出した.
(3) メチオニン,シスチンおよびシステインを培地に添加,培養すると,シスチンとシステインはH2Sの生成に対し,ほとんど促進性を示さないが,メチオニンはH2Sの生成を著しく増大させた.
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