1971 年 42 巻 11 号 p. 577-581
本実験は季節,年令,性の血漿中副腎皮質ホルモン(以下11-OHCSと略す)濃度に及ぼす影響について調べ,とくにこの点において動物の種による差異があるかどうかを検討した.実験に用いた動物はウシ,ヒツジ,ラットであり,各々雌雄およびいろいろの年令のものを含んでいた.比較を行なった季節は初夏と晩冬であった.
1) ウシおよびヒツジの血漿中11-OHCS濃度は,いずれの場合もラットにおけるその濃度より低かった.
2) ウシおよびラットにおける血漿中11-OHCS濃度は雄よりも雌の方が高かったが,ヒツジにおいてはその差は明らかでなかった.
3) 血漿中11-OHCS濃度の季節差はウシでは,7~12ヵ月令のものにおいてのみ認められたが,他の年令では,これは認められなかった.ヒツジの場合は,いずれの年令においてもこの季節差は認められなかった.ラットではこの差は顕著であり,夏よりも冬の方が高かった.
4) 血漿中11-OHCS濃度に及ぼす年令の影響はヒツジおよびラットで,いくぶん認められた.