日本畜産学会報
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ヤギにおける胸管リンパ系への不飽和脂肪酸の吸収
田中 桂一清水 良三崎元 道男〓 徳芳
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1974 年 45 巻 4 号 p. 206-213

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抄録

第四胃フィステルを装着した山羊2頭を含む5頭の山羊に胸管リンパカニューレを装着し,1頭にはアルファルファヘイキューブ800g,2頭にはアルファルファヘイューブ800gにサフラワー油30gを混合したもの,第四胃フィステルを装着した山羊2頭には,アルファルファヘイキューブ800gを給与した1時間後に,サフラワー油30gを1%(W/V)Tween80で乳化したものをフィステルを通して第四胃内に投与した.その後経時的に胸管リンパ液を採取した.アルファルファヘイキューブだけを給与した後,24時間を通じての胸管リンパ液の全流量と総脂質の輸送量は2.0lと6.7gであったのに対して,サフラワー油を経口的に給与した時は3.1lと20.0g,また第四胃内に投与した時は2.7lと11.7gであった.サフラワー油を経口給与あるいは第四胃内投与することによって,胸管リンパ液中のトリグリセリドとリン脂質の輸送量は増加し,両者の間には正の相関(r=+0.992,P<0.01およびr=+0.984, P<0.01)が得られた.カイロミクロンおよびカイロミクロンを分離したリンパ液中のトリグリセリドとリン脂質の濃度はサフラワー油を給与することによって増加し,経口的に給与した時には19~21時間後に,第四胃内に投与した時には10~12時間後に最大値に達した.さらにカイロミクロンおよびカイロミクロンを分離したリンパ液中のトリグリセリドとリン脂質の濃度の間には正の相関(経口的給与:r=+0.951, P<0.01およびr=+0.860, P<0.05,第四胃内投与:r=+0.982, P<0.01およびr=+0.861, P<0.05)があった.サフラワー油を経口的に給与した時,カイロミクロンおよびカイロミクロンを分離したリンパ液中のトリグリセリド画分において,C18:0は4時間後まで減少したが,その後実験終了時まで増加した.C18:2は4時間後に最大値を得た.サフラワー油を第四胃内に投与することによって,カイロミクロンおよびカイロミクロンを分離したリンパ液中のトリグリセリド画分のC18:2は著しく増加し,C18:0とC18:1は減少した.

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