日本畜産学会報
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反芻胃内繊毛虫類によるペプチド代謝
上田 洋一小野寺 良次神立 誠
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1975 年 46 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

カゼインのパンクレアチン消化物(ポリペプトン)を添加して反芻胃内繊毛虫類を培養後,増加したアンモニア態およびアミノ態窒素を測定することにより,繊毛虫類のペプチド代謝を検討した.ポリペプトンは,全毛目を含む混合虫体によっても,また,貧毛目のみによっても分解され,培地中にアンモニアおよびアミノ酸が増加した.貧毛目は粒状カゼインを,また,全毛目を含む混合虫体は溶液状力ゼインをも,それぞれ分解して,非蛋白態窒素を増加させるが,その中で最も多いペプチド態窒素は,さらに培養を続けることによって分解され,アミノ酸およびアンモニアが増加した.繊毛虫類培養後(5hr)の培地上澄液および虫体ホモジエネートも,ポリペプトンからアミノ酸およびアンモニアを産生した.培地上澄液によって産生されたアンモニア態窒素に対するアミノ態窒素の比は,繊毛虫類懸濁液および虫体ホモジェネートによって産生されたそれらの比よりも高いので,繊毛虫類は,培地中にペプチターゼを分泌しているのではないかと考えられた.しかし,繊毛虫類が膜透過によって体内にペプチドを取り込む可能性は,本実験からは必ずしも否定されなかった.

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