日本畜産学会報
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沖縄における水牛の来歴,体型および飼養実態
新城 明久
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1977 年 48 巻 3 号 p. 144-148

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抄録

沖繩における水牛の来歴,体型,毛色,飼養実態および用途を明らかにした.体尺測定は石垣島,西表島,小浜島,与那国島,沖繩島,南大東島および北大東島の7つの島で実施した.頭数は普通型水牛で雌94,雄39,去勢雄19,小型水牛で雌6,雄1頭の計159頭である,体尺は3才以上のものについて,ウシに準じ測定定した.1) 沖繩の水牛は台湾からの移住民により,台湾から1933年石垣島に輸入され,そこから各島に伝播した.2) 普通型水牛の雌,雄および去勢雄の体高は,それぞれ124,129,13cm,体長は143,151,146cm,胸囲は195,202,206cmであった.小型水牛では雌と雄の体高は115.114cm,体長は135,133cm,胸囲は176,184cmであった.3) 毛色はすべて灰色一色で変異はみられなかった.4) 飼養形態は湿地帯,河原,原野でのけい牧が最も多く,次いで屋敷周辺の防風林の下でのけい留である.また沖繩島の一部の地域では舎飼がなされ,与那国島では放牧もされている.5) 繁殖は主として与那国島の牧場で行われている.一般の農家は妊娠末期に使役ができないこと,子水牛が農作物を荒すことから繁殖を嫌っており,時たま,雄または雌の逃亡による自然交配がみられる程度である.6) 用途は主に水田耕作に使役され,そのほか農作物の運搬に輓用,駄用としての役畜である.肉は加工用と生肉用に消費されている.

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