日本畜産学会報
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雄ウズラにおける卵黄内投与エストロジェンの生殖器官発達および繁殖能力に対する影響
盧 淳昌近藤 恭司
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1979 年 50 巻 11 号 p. 821-832

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抄録

ふ卵初期に投与したエストラジオールベンゾエート(E. B.)がふ化後雄ウズラ(Coturnix coturnix japonica)の生殖器官および繁殖能力にどのような影響を与えるかを調べることを今回実験の目的とした.劣性伴性白色遺伝子をマーカーとし,羽毛でウズラの性が判別できるようにした.ふ卵初期にE. B. 0.01mgから0.4mgまで6段階の濃度で1回注射し,ふ卵を続けふ化させた.ふ化直後から1年齢まで,雄ウズラの生殖器官の発達を調べ,またE. B.処置雄ウズラから9羽を選び無処置雌ウズラとの交配実験を行い,その繁殖能力を調べた.結果:1) E. B.投与によってCloacal glandの発達が抑制され,その中の泡状分泌物の生産も少くなった.2) E.B.投与によって影響を受けた生殖腺は日齢が進むにつれて普通の大きさに回復した.3) E. B.投与によって精管の発達が妨げられた個体がみられ,また痕跡卵管を持つものもあったが,4) E. B.投与にもかかわらずほとんどの個体の生殖腺で精子が存在した.5) E. B. 0.1mg以上投与群の雄ウズラは繁殖能力がなく,E. B. 0.01mgと0.02mg投与群では少数の受精卵が得られた.

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